「平家物語 犬王の巻」「乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です」「富豪刑事」と筒井康隆短編集

「平家物語 犬王の巻」「乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です」「富豪刑事」と筒井康隆短編集

「平家物語 犬王の巻」古川日出男著。室町時代、海底から引き揚げた宝物により父と己の視力を失い、琵琶法師となった友魚と、醜怪な姿で生まれ瓢箪の面をつけた犬王が出会う。二人は友となり、犬王は友魚に「俺のことを曲にしろよ」と持ち掛ける。犬王を語る新曲は続々と作られ評判になり、二人とも成功してゆくが。歌うような文章が美しい。会話もあるけれど地の文が主。能を舞うごとに犬王は本来の美しい身体を取り戻してゆく、その様はどろろの百鬼丸のよう。何者かの存在に唆された父により殺された琵琶法師たちの霊、彼らの歌う平家物語、醜く生まれた犬王が彼らを浄化し能を極める。しかし足利義満に寵愛され平家物語は世阿弥本以外禁止。友魚は死の前に自分が視力を失ってからこれまで、平家の霊や琵琶法師の霊も、何かにそうさせられていたのだと悟る。語られないが芸能の神かもしくは鬼のようなものだったんだろうなと。アニメ映画になるそうで楽し...